バナナの木

演劇学を学ぶ大学四回生です。自分の勉強のために観劇の感想を書こうかと思っているブログ

観劇記録(海外)

ラストのマンチェスターでの観劇~ロイヤルエクスチェンジシアター『No Way? No Pay!』・『Dirty Dancing』~

この後も『UNTITLED F*CK M*SS S**GON PLAY』や『チャーリーとチョコレート工場』、『SIX』、『ジーザスクライストスーパースター』、『ハミルトン』等々、面白い作品の上演が続々あるマンチェスターだが、もう移動しなくてはいけないのでこの二作品が最後の…

ラストのウェストエンド観劇記~『Operation mincemeat』・『間違いの喜劇』・『CABARET』・『オクラホマ!』・『ガイズ&ドールズ』・『ムーラン・ルージュ』~

期末のエッセイ提出も終わり、イギリスから移動する前の最後のロンドン滞在として三日で計六作品観劇した。ウェストエンドでは、端席だと日本で観るよりも安く5000円以下で大体チケットが手に入るので、あまり普段はチケットを買うことが出来ない商業ミュー…

五月中旬の観劇記録『A Play for the living in a time of extinction』『スポンジボブミュージカル』『Greatest days』『TransMission: Sissy TV』『Landing on Feathers』

最近のイギリスは、気温も上がってきて、天気も良くお出かけ日和で本当に良い季節です。そんな五月中旬の観劇記録を残していきます。 5/19 Katie Mitchell 演出『A Play for the living in a time of extinction』 @Shakespeare North ケイティ・ミッチェル…

4月から5月前半の観劇~『Drive Your Plow Over the Bones of the Dead』『熱いトタン屋根の上の猫』『王様と私』~

学期末で課題に追われ執筆の時間が取れず、溜まっていった観劇作品について記録をつけていきたいと思う。ほぼ一か月前の作品もあるので、あやふやな感想になるかもしれない。 全部一気に書こうと思っていたが、かなり長くなってしまいそうなのでとりあえず3…

イギリス・マンチェスターの劇場紹介

イギリスは劇場文化が盛んであり、平日・休日問わず沢山の公演が上演されている。長い人生の中で、マンチェスターに来て、演劇を観る機会がある人はそう多くはないだろう。しかし、それぞれの劇場に特徴があり、面白さがあり、かなり魅力的だ。観劇に行くと…

3月後半の観劇記録~『The merchant of Venice(1936)』『オペラ座の怪人』等、計6作品~

観劇のブログが滞っていたので、とりあえず3月内の公演は振り返っていきたい。今が一番観劇スランプ状態で、イギリスに来たばかりの時に比べてあまり刺激の強い、筆を走らせたくなるような公演に出会えていない。4月内は課題もあって観劇を抑えているので、…

リヴァプール版?『トップ・ガールズ』

リヴァプールの中心街にあるEveryman Theatreでの上演。劇場の芸術監督も務めるSuba Dasの演出(この演目で男の演出家かという気持ちはありつつ…)。 劇場前に飾られているポスター。 キャリル・チャーチルはいわずと知れた、代表的な現代イギリス劇作家であ…

少人数の演目多め~『The beginning』,『WHO YA GONNA CALL? 』,『Song From Far Away』,『Death Drop』~

まだ気温が全然上がっていないが三月だ。今月は意味が分からないくらい面白そうな演劇が目白押しであるため、観劇のスケジュールがめちゃくちゃなことになっているし、少し遠くの劇場で上演される作品やチケット代のかさむ公演はかなり諦めている。 劇場も少…

クイアジュークボックスミュージカル『Head over heals(ヘッド・オーバー・ヒールズ)』

先週末、Hope mill Theatre という独立系小劇場に初めて行って観劇してきた。この劇場は、他の小劇場とは少し異なり、他のアーティストへの貸館事業よりも、新作や輸入作品を自分の劇場で製作し、ロングランで上演することを中心に据えたタイプの劇場のよう…

リピート向け?チケットが安いー『ロッキー・ホラー・ショー』ー

最近、日本のTwitterで話題になっている、「ムーラン・ルージュ」のチケットが高すぎる問題。その流行に乗りつつこのブログを始めたいと思う。「ロッキー・ホラー・ショー」は日本でも去年2022年にパルコ主催、河原雅彦演出、古田新太主演で上演されている。…

要素が多めの香港に関するコメディーPapergang Theatre ‘A Bouffon Play About Hong Kong’ ー

Papergang Theatre ‘A Bouffon Play About Hong Kong’ HOMEシアター PUSHフェスティバルという劇場の催しの一部の公演。Isabella Leung作・演出で、2021年にはThe Women's Prize for Playwritingの最終候補作に残ったらしい。タイトル通り香港にまつわる話で…

観客の重要性 -『マンマ・ミーア』・『Gallifrey Cabaret』-

先週の観劇の後、授業で観客論を勉強してからブログを書こうと思っていたため時間が空いてしまった。授業では、ジャック・ランシエールの『解放された観客』と、Royona Mitraの'Decolonising Immersion: Translation, spectatorship, rasa theory and contem…

今週の観劇三種ーGary Clarke Company『WASTE LAND』, IRIS Prize 映画上映会, House of Suarez『Vogue Ball』

マンチェスターでの観劇生活再開の始めは、まずお気に入りの小劇場での観劇からだ。 ① Gary Clarke Companyの“WASTE LAND” (2019初演) 開演前の様子。友達と来たのに、色々あって分かれて座っている。 徒歩三分ほどの一番近いコンタクトシアターでの観劇。…

ウェストエンド観劇⑤ー『The book of Molmon』・『Matilda』・『The Lehman Trilogy』ー

クリスマス休暇での、ロンドンの観劇録も最終回だ。 学期が始まるとロンドンに行くような余裕は全く無くなってしまうので、結局日帰りも含めて三回も行き、観劇を繰り返した。ロンドンは本当に劇場がいっぱいあって、夢のような場所なのだが、観劇する以外の…

ウェストエンド観劇④ー『Newsies』・『Frozen』ー

今日は日曜に上演しているそこまで高くない作品を選んだら、どちらもディズニーになったという偶然のディズニーDAY! ①『Newsies』 上演前の舞台の様子 日本でも上演されたディズニーミュージカル。ウェストエンドの劇場街ではなく、少し離れたところにある…

ウェストエンド観劇③ー『&Juliet』・『SIX』ー

課題で本当はそんな余裕も無いっちゃないのだが、この機会を逃し学期が始まると更にそんな余裕も無くなるので、観劇旅行二回目に行ってきた。帰ったら勉強に集中するために旅行中に簡単にブログを書いておきたいと思う。 『&juliet』 シェイクスピア作『ロ…

ウェストエンド観劇②ー『Best of Enemies』・『HEX』―

こう思い返してみると、前回の『Wicked』、『RUINATION』に続き、『Hex』と魔女物を観ることが多い今回の観劇旅行。課題にかかりきりになって全然ブログを書く時間が取れなかった!ということで、曖昧で簡単なブログになります…。 『Best of Enemies』in Noë…

ウェストエンド観劇①ー『Wicked』『One Woman Show』『Ruination』ー

初めてロンドンに行ってウェストエンドで観劇してきた。完全に観光モードで観劇中のメモもあまりしなかったので、このブログもただの思い出語りになる可能性が高いがせっかくなので書いていく。 『Wicked』 開演前の様子。当日券なのに意外といい席。 当日の…

現実と悪夢の混濁-ナショナルシアター『The Ocean at the End of the Lane』

ニール・ゲイマンの小説を原作にした作品。ナショナルシアター制作で、2019年に初演したのち、現在ツアー公演を行っている。私はソルフォードのThe Lowryで14日と16日の二回観劇した。 二幕開場前の舞台 物語は、中年の主人公が父親の葬式で故郷に戻り、昔の…

カオスな議会ロックショー(一部)―ロイヤルエクスチェンジシアター『Betty! A sort of musical』

この劇は全体的に観るととびぬけて面白く優れている訳ではなく、その点は前回同じロイヤルエクスチェンジシアターで観た、『Let the Right One In』の方が良かったのだが、二幕頭の議会場面のあらゆる扮装をして様々な政治家が歌い踊る場面が非常にトンチキ…

障がいとクイアとSMの関係性ー『DAN DAW SHOW』ー

信頼の厚いHOMEシアターでの上演。題名の通り、Dan Dawというオーストラリアでキャリアをスタートさせて現在はイギリスで活動しているアーティストの作品で、彼が手足に麻痺を持つ障がい者であるということと、クイアであるということが作品のテーマに関わっ…

ロングラン70年目ーアガサ・クリスティー『ねずみとり』ー

アガサ・クリスティー作のこの作品は、1952年11月25日に初演されてからコロナで休演を余儀なくされるまで世界最長のロングランを続けていたらしい。私は元々全く知らなかったのだが、幸運に同時期に留学している大学の後輩に教えてもらい、原作の本も貸して…

マンチェスター大学のミュージカルサークルによる『春のめざめ』

原作はフランク・ヴェーデキントの1891年出版の小説で、今回は2006年にブロードウェイで初演されたスティーヴン・セイター脚本、ダンカン・シーク音楽のロックミュージカル版だ。 日本でも劇団四季をはじめとして、プロ・アマチュア団体等の上演がされている…

今週の観劇三種-『NOT F**KIN’ SORRY』『OODLES OF DOODLES』『LION KING』

今週は近所の劇場のしかも一時間公演だからいいかと思って、平日に二つの公演と、週末にミュージカルのライオンキングを観に行った。 『NOT F**KIN’ SORRY』 写真撮影が自由だった 一番家に近いコンタクトシアターでの公演。学生会員&会員割引でチケットは…

青春スペクタクル吸血鬼物―ロイヤルエクスチェンジシアター『Let The Right One In』

原作はスウェーデンの作家ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストの小説で、2008年にスウェーデンで『Let The Right One In(邦題ぼくのエリ 200歳の少女)』、2010年にアメリカで『モールス』として二度の映画化がされている。母子家庭で、アルコール依存の母…

宇宙空間の桜の園ーVinay Patel翻案『The Cherry Orchard』

マンチェスターHOMEシアターでの上演。二列目のほぼセンターで観劇した。前列も誰も座っていなかったので最前列ではあるが舞台をかなり見上げる形になるので見えにくい部分もあった。二年生向けの近代劇の授業の一貫で無料で観ることができた。無料チケット…

脱炭素演劇ーPigfoot 『Hot in here』ー

Pigfootというイギリスの脱炭素劇団(Carbon-neutral theatre company)の公演で、タイトルからも分かる通り気候変動を扱う作品だ。演出はHetty Hodgson (she/her) と Bea Udale-Smith (she/her)。 www.pigfoottheatre.com 気候変動を直接的に扱う劇は、シビ…

完成度の高いヒップホップパフォーマンスーBoy Blue”Black Whyte Gray”(おまけにジャージーボーイズ)

授業でオススメされたこともあって、観劇した。歩いて20分くらいのHOMEシアターでチケット代は、2000円くらい。 Kenrick Sandy と音楽プロデューサーのMichael Asante によって2002年に設立されたヒップホップダンスカンパニーBoy Blueによる公演だ。全然知…

ブラックミュージカルの間演劇性-『The color purple』-

ピューリッツァー賞を受賞したアリス・ウォーカーの1982年の小説を基にしたミュージカルで、1985年にはスピルバーグが映画化している。 劇場前のポスター写真 劇場はThe Lowryという大学からバスで30分くらいのところで、割引チケットで三列目を実際の値段の…

ダンスフロアドラマツルギー-OUTBOX『GROOVE』

OUTBOX『GROOVE』@CONTACT THEATRE(寮から徒歩三分くらい) Ben Burattaという演出家の元、2010年に結成された劇団で、“Outbox create spaces where queer people can dream and imagine”というキャッチコピーにもあるように、LGBTQの人々の出演する、彼らが…