バナナの木

演劇学を学ぶ大学四回生です。自分の勉強のために観劇の感想を書こうかと思っているブログ

シビウ演劇祭七日目・八日目

新しいカンパニーTeatru Mascaというブカレストの劇団を迎える準備や実際にお出迎えがあったが、アウトドアでしかも現地のカンパニーなのでとりあえずやることは少なく、夜は公演を見ることができた。一日に何作品もはしごできる天国のような時間なので、終わらないでほしい。一生こういう生活をつづけたい…。

 

Focus and Chaliwaté Companyの“Sunday”

環境破壊をテーマにした舞台だが、舞台上で繰り広げられるものは基本的にコミカルでキュートでめちゃくちゃ楽しい。しかし当然色々な問題は考えさせられるし、環境問題を扱った舞台はそんなに観たこと無かったかもしれないと気づいた。いまシビウもめちゃくちゃ暑いし、日本も暑いらしいし、上演前には急に激しい雷雨に見舞われたりしたので、身に摘まされる思いがあった。

舞台は3パートに別れていて、地球温暖化と、竜巻などの異常気象、地震津波がそれぞれ扱われる。そしてそれぞれのパートも三つに別れていて、まず、ニュースを中継のような形で伝え、取材するクルーたち。彼らがそれぞれのパートの始まりになり、雪山、空?海で災害に巻き込まれる。そして、白熊、鳥、魚といった自然界、そして夫婦とおばあちゃんの暮らす家庭のそれぞれの状況下での姿が描かれる。

 

それぞれのパートも繋がっていて、クルーたちのニュースが家庭のテレビで流れたり、竜巻に巻き込まれた鳥が家に入ってきたりする。

 

とにかく、コメディチックで面白いし、車、動物のパペット、映像などの道具と効果も隙がなく見事だった。第三パートの地震の部分だけ少し手を加えないといけないかもしれないし、荷物を輸送するのが大変かもしれないが日本でも見たい。

 

サシャ・ヴァルツのKreatur

7日目にはスカーレット・プリンセスの為に途中抜けしたが、8日目には最前列で観ることができた。

基本的にダンサーは裸であることが多いのだが、着ている衣装も印象的で、モコモコトゲトゲした毛皮のようなものだったり、トゲトゲしたものだったり、素材が不思議。舞台の上手側に階段のような壁のような白いセットがあって、印象的に使われていた。

舞踏の授業のレジュメを引っ張り出して来たいくらいなのだが、その授業で習った「ケルパー(身体)」と同じく終盤ではダンサー同士が体をお互いに触りあったり、髪を振り回したりしていて、最後はその関心に帰結するのかなと思った。また、壁を使ったシーンでは、お互いに支えあったり乗り越えたり、そのあと叫んで他者に苛烈にあたる一人のダンサーがトゲトゲの衣装を着てその後出てきたりと、現代の社会問題や人々のコミュニケーションに関する問題を扱っているのだろうなということを感じた。

殆どのショーで男女問わず人の裸をみることがかなり多く、構えてみてしまう部分もあるのだが、日本でその女性の裸というものが性的対象物として扱われすぎているのだろうなと思った。

 

ルーマニアAndri BeyelerのRosalinda the cow

牧場の人と牛、豚、犬などの動物という設定で歌いながらストーリーが進んでいく。最初に町の様子が説明されるのだが、右に何々~そこから何キロ進んで~というような説明は「わが町」みたいだなと思った。牛が飛行機に乗ってアフリカに行ってしまうなど、色々面白いのだが、オリジナルストーリーであるため、英語の字幕を追い続けるのが大変で回りの人ほど楽しめていないかもしれない。

 

韓国Theatre Hooam & AtoBIZ LtdのBlack and White Tearoom – Counsellor

男二人の密室芝居で、最初から中盤まではかなりシリアスでスリリングに進む。

話は元々警官で今はカウンセラーになっている男性とそこに相談に訪れる男性の話で、二人の過去の因縁が明らかになるというものだ。作劇の基本に忠実に従っているというような感じで、相談に訪れる男が実は耳が聞こえていなかったということが、最初の登場で入っていいよと言われているにも関わらずドアをノックし続けていることで示唆されていたり、聞こえない音に関わる道具や金魚の餌、砂糖、遺骨などの粉といったモチーフが繰り返し用いられていたり、骨格がしっかりしているのだが、終盤でかなり変な方に進んでいく、そのギャップが面白かった。基本的には静かな演劇という感じなのだが、途中途中でかなりヒートアップして、叩いたり、飲み物をかけたり、叫んだりと、つかこうへいチックになり、それも私は好みだった。

途中途中で字幕が遅れることがあったのだが、もしかしたら耳が聞こえないという設定の芝居であるため意図的なものだったかもしれない。そうだとすると、彼らの話している言語の理解できない海外での公演の方が作品意図の伝わりやすいものになるだろうと思った。

 

イタリアTeatro per CasoのWorld of Wonder

大きいデカい光る白鳥の練り歩き。

 

スペインBatucada de Murcia & Carnival Group de AlicanteのBatucada in Carnival

オレンジのデカいカーニバル衣装を着た女性達の練り歩き