授業でオススメされたこともあって、観劇した。歩いて20分くらいのHOMEシアターでチケット代は、2000円くらい。
Kenrick Sandy と音楽プロデューサーのMichael Asante によって2002年に設立されたヒップホップダンスカンパニーBoy Blueによる公演だ。全然知らなかったのだが、The Guardianの紹介記事によると、オリヴィエ賞をPied Piperという作品で受賞したり、オリンピックでも振付をしたり、イギリスの演劇界でヒックホップの地位を確立した偉大な劇団であるようだ*1。
この作品は、2017年にロンドンのバービカンの劇場で初演されたもので、レパートリーとしてツアーで公演しているらしい。先月がブラック歴史月間だったので、その関係もあって上演されているのだと思われる。
上演を観ていくと、一時間半ほどのダンス作品で、場面はホワイト、グレイ、ブラックの三つに分かれている。場面に応じて、衣装やコンセプト、ダンスもシーンごとに少しずつ変化する。
ホワイトでは、白い衣装を着た三人のダンサーが登場し、ロックダンスと呼ばれる、停止を大事にするダンスとロボットダンスが融合したようなダンスを踊る。牢獄のような照明が当てられ、腕を後ろにするような振りから、監獄の中に閉じ込められているような雰囲気があった。
Grayは、背中ばいのようにダンサーが出てきて、カンパニー全体の8人で構成する場面だ。こちらのダンスは、足を蹴り上げるような振付やバク転があり、ダイナミックでアクロバティックな雰囲気だ。銃を構えるような動きがあって、戦争が想起させられた。
Blackでは、一人のダンサーが他の人達の前で何度も失敗するようなダンスが繰り返され、強い男性性が求められるということとその崩壊を描いている様だった。
全体的に小道具は使われず、その分スモークと照明効果というのが強調されていた。
特に、観てもらいたいのだが、スポットと全体照明が音楽と振りに合わせて切り替わるというのが何度か繰り返されるというシーンがカッコ良すぎた。思わず調光卓を見てしまった。また、ズボンや化粧に発光するペイントがつけられていて、照明が暗くなったら光るという効果もあった。
兎に角、ダンスに寸分の狂いもない、ハイパーテクニックという感じで、完成度が高かった。言葉では表しきれないし、後半に行くにつれ全然メモを取っていないので、チャンスがあれば観てほしい。
結構HOMEシアターのキャパは小さくて、しかも空席もあったので、客入りは多くない、200程度ではないかと思われるのだが、それくらいの小さな劇場でこの演目が観れるのは贅沢だと思う。
この次の週には、オペラハウスに「ジャージーボーイズ」を観に行ったのだが、席が後ろ過ぎたからか、ボーカルのフランキーが全く歌が上手いと思えなかったからか、隣の観客がめっちゃ歌うからか、特に一幕は全然楽しめなかった。
原作になったフォー・シーズンズの曲を聞くと、似せているという事は分かるのだが、その特徴的な声が受け入れられなかった。
二幕は隣一列の客が全員いなくなり(そんなことある?)、見やすい場所に移ったこともあり、知っている曲が増えたこともあり、一幕よりは楽しめたと思う。
日本でも同時期に上演されていたと思うので、曲を知らない人も多いであろう日本では同上演されていたのか、いつか観てみたい。