バナナの木

演劇学を学ぶ大学四回生です。自分の勉強のために観劇の感想を書こうかと思っているブログ

ウェストエンド観劇③ー『&Juliet』・『SIX』ー

課題で本当はそんな余裕も無いっちゃないのだが、この機会を逃し学期が始まると更にそんな余裕も無くなるので、観劇旅行二回目に行ってきた。帰ったら勉強に集中するために旅行中に簡単にブログを書いておきたいと思う。

 

『&juliet』

シェイクスピア作『ロミオとジュリエット』を原作に、もしジュリエットが死ななかったらというストーリー。シェイクスピアが都会で成功を収める中、田舎で子育てをしている妻のアンが不満を持ち、悲劇に終わるストーリーを書き換えていくというものだ。ロミオの葬式で自分以外にも男女を問わず沢山の恋人がいたことを知ったジュリエットは傷つく。しかし、気を取り直して、ノンバイナリーの友人メイ、乳母、そして友人役としてアンも劇に参加し、一同はルンルンでパリに向かうというストーリーだ。パリではジュリエットがフランソワという新しい男と出会い、また結婚する話に向かっていくものの、フランソワとメイも惹かれ合っていたり、フランソワの父親と乳母が元々恋仲でその関係が再燃したり、シェイクスピアとアンの夫婦関係にもほころびがみえたりと三者三様の入り組んだ人間関係が描かれる。

 

いわゆるジュークボックスミュージカルで、Max Martin作曲の楽曲で全編構成されている。聞いたことあるな~くらいの音楽も多いのだが、場面場面の状況と上手く融合して、自然に使われている。一幕最後にロミオが復活して来る時に上から登場して「IT'S MY LIFE」を歌っていた時にはかなりテンションが上がった。また、結婚式ではシェイクスピアらしく劇中劇の趣向が取り入れられるのだが、そこでシェイクスピア、フランソワ、その父、メイがBack street boysの「EVERYBODY」をコンサートっぽくパフォーマンスするのも良かった。ダンスナンバーがカッコいいし、圧倒的なスターとしてジュリエットが出てくるのでレヴューに近いところもあるかもしれない。曲を知っているともっと楽しめると思う。

パンフレットの脚本家インタビューをみると、このようなパワフルで自立したジュリエット像は、シェイクスピアのジュリエットに元来描かれていたものだという気づきが書かれており、最近の星組ロミジュリを経た私の考えにも近いところがあって嬉しかった。

中心のアン、ロミオ、フランソワ役が代役になっており、フランソワ役はあまり声が出ていないかなと感じさせる部分もあったが、大部分はそんなことを全く感じさせない圧巻のパフォーマンスであった。

著作権的に曲や歌詞を使うのが難しいかもしれないのでそもそも日本版は難しいかもしれないが、日本版で愛希れいかもしくは舞空瞳にまたジュリエットをやってほしい、日本版でも観たいという気持ちとノンバイナリーの描写がどうなるか不安という気持ちが絡み合っている。

 

『SIX』

ヘンリー八世の6人の元妻たちが現代に蘇り、誰が一番の王妃だったかで主役を争い合うというストーリー。元々ずっとオープニングの「Ex Wives」とエンディングの「SIX」を聴いていたので、実際に生で観ることができたという感動が大きかった。特にアン・ブーリンとキャサリン・ハワードの曲とキャラクター、斬首同士の絡みが好きだった。あとアン・ブーリン役のBAYLIE CARSONは元々そういう役柄ではあるのだが、それにしても表情がオーバーでかなりはっちゃけていた。

とにかくいうことなしにシスターフッドでガールズパワーで最高な作品だ。『&Juliet』と系統が似ているので私の好みが明らかという感じだが、本当に元気が出た。