バナナの木

演劇学を学ぶ大学四回生です。自分の勉強のために観劇の感想を書こうかと思っているブログ

シビウ演劇祭九日目・十日目

また新しい担当カンパニー、ブカレストのTeatru Masucaが来て、その劇団に付きっきりだった。なのでその他は目玉の「ファウスト」を除き、日本にも来たイタリアのマクベス等評判がいいものも観ることができなかったが、その分、野外としてはしっかり舞台を作る方の劇団に付ききりで、色々面白い経験ができたと思う。

今回はルーマニアの劇団なので、言語的な面で少し不安もあったが、現地のボランティアの姉さんが大きく包み込んでくれるし、劇団の人も常連で馴れてるからかピリピリした緊張感というものがほとんどなく、たぶん一人だけ混ざっている日本人に関心を寄せてくれていたので、過ごしやすかった。テクニカルのおじさんたちはルーマニア語で話しかけてくるので雰囲気だけで話してたし、いつも冗談言ってくる、仕込み中にチェスやってる、何やってるかわからないおじさんとかが愉快だった。

 

ルーマニアTeatru MasucaのExodus

スモールスクエアというその名の通り、嘘つき橋の近くの小さな広場を使った野外公演

背景がたくさんのひまわりと青空の写真になっていて、ウクライナのことをテーマにしていると分かるようになっている。実際、最近のことを受けて創られた新作らしい。

絵の具を散らした、汚しのかけられた衣装を来た人々が戦禍を逃れて離散するという話で、台詞はなくノンバーバルのパフォーマンス。ダンスというよりも、ゆっくり動く機械仕掛けの人々という感じ。白塗りで、木製の旅行カバンを持っているので、維新派かなと一瞬思ったが、そんなこともないかもしれない。全体的には良かったが、爆発音が何発も立て続けに鳴る部分がかなり長く、子供たちが怯えていたし、ウクライナから実際避難してきている子達も多いと思われるので、少し大丈夫だろうかという気持ちにはなった。

 

同じく

Teatru MasucaのA perfect crime (the Angels from Văcărești)

二日目は異なる演目を上演していた。こちらは、‘Exodus’と異なり結構台詞やナレーションがある。登場人物は、ミカエル等の羽を背負った天使たちと、老人、老婦、若いカップル二人。ルーマニア語で進んでいくので細かい話までは分かっていないのだが、ブカレストの歴史ある教会をチャウチェスクが壊したことにまつわる話だった。若いカップルが結ばれ、そして自身たちも天使になっていくのだが、それを見守ってきた幸せな教会が崩壊し、天使たちも羽がもがれていく。視覚的には美しいパフォーマンスだが、それだけではなくかなり社会的なテーマを持って上演しているカンパニーなのだなということが二日間の公演を見て分かった。

 

ファウスト

演劇祭の目玉、シルヴィウ・プルカレーテ演出の作品、日本でも実際に寺山修司天井桟敷の公演を生で観ていたらこのような感じだったのかもしれないと、特に舞台奥で繰り広げられるワルプルギスの夜?のシーンで思った。激しいロックの音色の中で、人が吊り上げられて飛んでたり、豚の被り物を付けた人が踊り狂っていたり、水噴き出してたり、炎噴き出してたり、身体・身体・身体という感じだった。その中を赤色のゴージャスな衣装を着たオフェリア・ポピが進んでいくのがゴージャスで妖しく圧倒的な存在感だった。

 

スペクタクルすぎて圧倒されて逆に言うことが無いので、また冷静になってから追記したい。

 

Aerial Strada & Filarmonica de Stat SibiuのProject Sylphes feat. Orchestra

シビウの現地のオーケストラの音楽を背景に、クレーンに吊り上げられながらアクロバットをするというもの。最初は、宇宙服みたいな恰好で、大きな地球のバルーンが吊り下げられた上で踊っていて、無重力の宇宙空間風のパフォーマンスだった。地球を外して、色々なフォーメーションに変化していくのだが、見せ場で紙吹雪を大量に上空から散らし、照明に照らされ落ちていく紙吹雪とダンサーの姿は美しかった。

 

Drone & lasers show

初日にも観たが、少し違ったような気もする。ドローンもそれはそれですごいのだが、やっぱり花火も体験して見たかったなあという気持ちが残る…

 

https://199.hatenablog.jp/

↑同じくシビウに行っているめいさんのブログ、雰囲気がすごく伝わってくる。

こちらでも紹介

シビウ演劇祭~スカーレット・プリンセス~

 2020年に日本来日が予定されていたものが延期され、ついに今年10月から東京芸術劇場で招聘公演が行われることが決まっている、シルヴィウ・プルカレーテ作・演出の「スカーレット・プリンセス」。シビウ国際演劇祭でも二日間22時から二時間半というスケジュールで上演された。

 他のどの公演でもそうなのだが、ボランティアスタッフはチケットを持った客が入って開演時間になった後空いている席に自由に座れるというルールで、現実で先着順チケット取りをしているみたいで、非常に楽しい。二回観に行ったが、一回目は二列目センター、二回目も花道より三列目を実力で確保することができた。プルカレーテの作品は、オンラインや映像で「テンペスト」「リチャード三世」「メタモルフォーゼ」「スカーレット・プリンセス」等を見て、生では野田版「夏の夜の夢」を観ていたが、それも遠い末席だった。今回非常に近い席で観て、やっぱり生で近くで観た方がスペクタクルで楽しめるなと痛感した。

 

 下調べをしていないし、歌舞伎の方の知識もこの前の歌舞伎座の公演を前編は歌舞伎座で、後編はオンラインとシネマで観に行っただけの感想なのでご容赦願いたい。また、鶴屋南北原作の歌舞伎の話ではあるし、比較してみるとより楽しいのだが、一方でどちらがいい悪いではなく、別のものだと割り切って楽しむものでもあると思う。

 

まずは全体として、キッチュでエロでグロでポップでめちゃくちゃっていう鶴屋南北とプルカレーテの作風がぴったりマッチングしているというのはほとんどすべての人が認める所だと思う。歌舞伎の方の原作が大体踏襲されているのだが、所々変更されているか、強調する力点が変化していて面白かった。

 

第一に、主演の桜姫・清玄・権助以外のアンサンブルがかなり存在感を増している気がする。もちろん、日本の公演では仁左衛門さんを追っかけすぎていて見ていなかっただけという可能性も考えられるが、特に吉田家の重宝都鳥の一巻が盗まれたことを巡る部分がより分かりやすく丁寧に場面を割いて描かれていたように感じた。入間悪五郎という桜姫の許嫁の悪者役は、歌舞伎で観た時にはあまり印象に残っていなかったのだが、かなり重要なキャラクターとして出てきていたのが新鮮だった。更に、剃髪して法衣のようなものを着ている女性が出てきたり、西洋のサーカス風衣装や甲冑を身につけた大きい人が舞台に存在してきて、たまに劇に介入してきたりするのだが、どういう存在であるかはよく分からなかった。多分よくわからないままでもいいんだと思う。

 

第二に、最後清玄が恐ろしい霊として出てきたり、それが権助と重なる場面はあまりなく、寧ろ清玄と白菊丸の因縁が舞台セットも使って強調されていた。幽霊という考え方がどの国でも親しみやすいわけではないという配慮だろうか。

 

 

第三に、桜姫が最後、権助か憎き仇であることに気づいて、子殺し、人殺しをするのだが、その行為がナレーターによってmurderをしたと繰り返されていて、よりそれが罪であるということが強調されているように感じた。最後のシーンも役割としては同じようなものではあるのだが、お家再興ではなく、ミュージカルシーンで終わるので、この先の桜姫の行く末はよりオープンエンドで想像を掻き立てるような感じだった。

 

 演者に着目すると、それぞれ皆とても役に合っていて、特に主演二人、オフェリア・ポピーの権助は、悪人であるにも関わらずチャーミングでポップでコミカルでキュートで、でもやっぱり悪いという新しい色悪の魅力を感じた。桜姫役のLustian turcuは普段の姿もキレイで目がぱっちりしてて、フレンドリーで、驚くべき程にただのファンなのだが、作中では権助に対する欲情が激しくて、めちゃくちゃなお姫様というのを体現していた。お姫様が女郎言葉を身につけて帰ってくる終盤の見所では、火を探しているところで見た目は全く異なっているのに、不思議と玉三郎さんが火がねぇなあと言っているシーンがフラッシュバックした。

 残月と長浦の二人の絡みもやはり面白くて、最高だった。男女が反転して演じられるのだがそのバランスも非常に良かった。葛飾のお十も洋装をしているのだが、動きがコミカルで、トテトテというような効果音を歩くのにつけられていてキュートだと感じた。

 

 拷問道具を持った怖い黒子や、もふもふの毛皮、銃を使って殺す等々細かいポイントはたくさんあるがとりあえずここら辺で終わっておきたい。

 

一日目より二日目の方が客の反応はよかった様に思うが、客の反応で言えば、休憩を挟んだ二幕目がより複雑になるからか、どこか失速する雰囲気があるかもしれない。

逆に私が日本にいないという悲しみで、せっかくはるばる来てくれるのに、私は見れないのだが、日本で上演したらポピーとユスティの魅力にみんな悩殺されるんじゃないかな…

シビウ演劇祭七日目・八日目

新しいカンパニーTeatru Mascaというブカレストの劇団を迎える準備や実際にお出迎えがあったが、アウトドアでしかも現地のカンパニーなのでとりあえずやることは少なく、夜は公演を見ることができた。一日に何作品もはしごできる天国のような時間なので、終わらないでほしい。一生こういう生活をつづけたい…。

 

Focus and Chaliwaté Companyの“Sunday”

環境破壊をテーマにした舞台だが、舞台上で繰り広げられるものは基本的にコミカルでキュートでめちゃくちゃ楽しい。しかし当然色々な問題は考えさせられるし、環境問題を扱った舞台はそんなに観たこと無かったかもしれないと気づいた。いまシビウもめちゃくちゃ暑いし、日本も暑いらしいし、上演前には急に激しい雷雨に見舞われたりしたので、身に摘まされる思いがあった。

舞台は3パートに別れていて、地球温暖化と、竜巻などの異常気象、地震津波がそれぞれ扱われる。そしてそれぞれのパートも三つに別れていて、まず、ニュースを中継のような形で伝え、取材するクルーたち。彼らがそれぞれのパートの始まりになり、雪山、空?海で災害に巻き込まれる。そして、白熊、鳥、魚といった自然界、そして夫婦とおばあちゃんの暮らす家庭のそれぞれの状況下での姿が描かれる。

 

それぞれのパートも繋がっていて、クルーたちのニュースが家庭のテレビで流れたり、竜巻に巻き込まれた鳥が家に入ってきたりする。

 

とにかく、コメディチックで面白いし、車、動物のパペット、映像などの道具と効果も隙がなく見事だった。第三パートの地震の部分だけ少し手を加えないといけないかもしれないし、荷物を輸送するのが大変かもしれないが日本でも見たい。

 

サシャ・ヴァルツのKreatur

7日目にはスカーレット・プリンセスの為に途中抜けしたが、8日目には最前列で観ることができた。

基本的にダンサーは裸であることが多いのだが、着ている衣装も印象的で、モコモコトゲトゲした毛皮のようなものだったり、トゲトゲしたものだったり、素材が不思議。舞台の上手側に階段のような壁のような白いセットがあって、印象的に使われていた。

舞踏の授業のレジュメを引っ張り出して来たいくらいなのだが、その授業で習った「ケルパー(身体)」と同じく終盤ではダンサー同士が体をお互いに触りあったり、髪を振り回したりしていて、最後はその関心に帰結するのかなと思った。また、壁を使ったシーンでは、お互いに支えあったり乗り越えたり、そのあと叫んで他者に苛烈にあたる一人のダンサーがトゲトゲの衣装を着てその後出てきたりと、現代の社会問題や人々のコミュニケーションに関する問題を扱っているのだろうなということを感じた。

殆どのショーで男女問わず人の裸をみることがかなり多く、構えてみてしまう部分もあるのだが、日本でその女性の裸というものが性的対象物として扱われすぎているのだろうなと思った。

 

ルーマニアAndri BeyelerのRosalinda the cow

牧場の人と牛、豚、犬などの動物という設定で歌いながらストーリーが進んでいく。最初に町の様子が説明されるのだが、右に何々~そこから何キロ進んで~というような説明は「わが町」みたいだなと思った。牛が飛行機に乗ってアフリカに行ってしまうなど、色々面白いのだが、オリジナルストーリーであるため、英語の字幕を追い続けるのが大変で回りの人ほど楽しめていないかもしれない。

 

韓国Theatre Hooam & AtoBIZ LtdのBlack and White Tearoom – Counsellor

男二人の密室芝居で、最初から中盤まではかなりシリアスでスリリングに進む。

話は元々警官で今はカウンセラーになっている男性とそこに相談に訪れる男性の話で、二人の過去の因縁が明らかになるというものだ。作劇の基本に忠実に従っているというような感じで、相談に訪れる男が実は耳が聞こえていなかったということが、最初の登場で入っていいよと言われているにも関わらずドアをノックし続けていることで示唆されていたり、聞こえない音に関わる道具や金魚の餌、砂糖、遺骨などの粉といったモチーフが繰り返し用いられていたり、骨格がしっかりしているのだが、終盤でかなり変な方に進んでいく、そのギャップが面白かった。基本的には静かな演劇という感じなのだが、途中途中でかなりヒートアップして、叩いたり、飲み物をかけたり、叫んだりと、つかこうへいチックになり、それも私は好みだった。

途中途中で字幕が遅れることがあったのだが、もしかしたら耳が聞こえないという設定の芝居であるため意図的なものだったかもしれない。そうだとすると、彼らの話している言語の理解できない海外での公演の方が作品意図の伝わりやすいものになるだろうと思った。

 

イタリアTeatro per CasoのWorld of Wonder

大きいデカい光る白鳥の練り歩き。

 

スペインBatucada de Murcia & Carnival Group de AlicanteのBatucada in Carnival

オレンジのデカいカーニバル衣装を着た女性達の練り歩き

シビウ演劇祭五日目・六日目

五日目は担当している公演が終わり、ラドゥスタンカ劇場の看板女優オフィリア・ポピーの出演する「三人姉妹」を観るかどうするか散々迷った結果、宣伝の写真が面白そうだったダンス作品を観に行くことに決めた。

 

ベルギーCompagnie Mossoux-Bonté ‘Les Arrière-Mondes’

混乱、戦争、疫病の中を生きてきた、昔の贅を尽くした人々が蘇ってくるというようなコンセプト。舞台が幕で6つに区切られており、古ぼけたドレスなどを着たそれぞれのダンサーがそのスペースを使ってゆっくり動き出してくる。このプロローグは昔の亡霊が蘇ってくるというようなもので、かなり能と似ていると感じた。

 

最初は一人一人がそれぞれ動いているのだが、その身体表現はかなり舞踏に近いものだと感じた。服装も性別がよくわからないような装いをしていて、坊主だったり白っぽかったりする場面がかなり多いので、山海塾とかに影響を受けているのではないかと思う。

 

その後、中盤以降にかけては、ダンサー同士が交流するようになる。それはいいのだが、あまりにハプニング的な、驚かせようとするような要素が多く、首なし人間、手がたくさんある表現、急に顔が外れる等、その異形の演出が芸術的に面白いというよりは、お化け屋敷のような感じであまりいいとは思えなかった。

 

終盤、急に激しい音楽と共にヘドバンのような動きをしだして雰囲気がすごい変わったので、このまま終わっていくのかと思っていたら、突如として真顔、静寂に戻るというのを何回か繰り返すところが一番意味がわからなくて面白かった。

 

SWEDENのThe Art Group Fulの‘Baba Karam – through Jamileh and Khordadian The Summer Sneak Peek’

ハーバルマンでの野外パフォーマンスでイランの人気ダンスBaba Karamを利用したドラァグなショー。確かに、女性ダンサーが髭を付けていて、日本でいうROLLYみたいなダンサーが踊っていた。

 

宣伝画像からはもっと現代的でスタイリッシュなダンスを勝手に想像していたが、すごい古めかしいといったら悪いが、懐メロというような感じで、皆で踊ろうという感じで盛り上げる。なぜか最前列いたので私も踊っていた。

 

正直、自分自身が疎いこともあってパフォーマンスだけでは宣伝に書かれてるようなイランのテーマやドラァグさをあまり感じれず、ダンスもものすごい技術の高いものというわけでもないのだが、シビウの人たちは盛り上げるのがとても上手でかなり楽しかった。

 

六日目

カンパニーが昼に帰国したため、その後は暇になり沢山公演を観れた。

 

TrioMix

日本のJTのインターナショナル部門?JTIがGigi Căciuleanu și Fundația Art Productionと協力している公演のようで、VR作品だ。

自分の周囲を男性一人、女性二人のダンサーが回りながら踊るというもので、どこで誰が踊っているか分からないのでくるくる回りながら今踊っている人を探したり、自分の好きな人を追いかけることができる。日本の演劇でも最近VRは話題だが、自分の好きな俳優とかだとかなりいいだろうなと思った。

 

イタリアFormati Sensibili & BeSpectActiveのCONTEXT / SOLO

GONG Theatreの舞台に水が張ってあって、そこでひとりの女性ダンサーが踊る。非常にゆっくり、低い姿勢で舞台上に出てくるのだが、二階席からはほぼ何も見えなかったので、さすがに照明が暗すぎるように思う。舞台奥の画面にも水の流れのような映像が流され、水面も反射して、三角形の舞台装置がきれいに四角の形に見えたりする。舞台装置は美しいのだが、肝心のダンスの方は静寂という感じで、舞台から遠い席で見るとよくわからない部分が多かった。

 

イスラエルVertigo Dance CompanyのPardes

自分が担当していたカンパニーと異なるイスラエルのダンスカンパニー。こちらは手足を伸ばし体をダイナミックに使った群舞と、舞台奥と横にダンサーたちの影が美しく投影されるのが印象的だった。全員の衣装が統一されていて、その他の小道具も少なく舞台上のダンサーの身体に集中させるような雰囲気だった。面白かったのがダンサーの待機場所が舞台の三方にあって、踊っていないダンサーも思い思いに舞台上に待機しているということで、ブレヒト的な何か意図があってのことなのか、でもダンサーは特にこの公演では何かを演じてるわけではなさそうだし…、それとも稽古と本番の境目を曖昧にしているのか…等と考えてしまった。最後列の階段に座ってみていたので見えていないだけかもしれないが、あんまり水も飲んでなさそうだったのでその点は心配になった。

 

ルーマニアTeatrul Național Târgu-MureșのBetrayal

ハロルド・ピンターの「背信」の上演。そもそもこの男同士の友情と、女性と不倫と三角関係という話自体にあまり興味がないのだが、舞台美術が「リーマン・トリロジー」みたいに回るようになっていて宣伝写真が魅力的だったので観劇した。

 

驚いたのは、役者が全員、操り人形で操られているように非常にオーバーに動いて、台詞も全部録音で実際には喋ってはいないことだ。劇が一番新しい時から時を逆行していくという構成になっているため、何かその演出が後半効いてくるのかなと思いきや最後まで何も変わらずそのまま終わってしまって、何の効果を狙ったものなのか全く分からなかった。また、細かい部分ではあるのだが、ジェリーとロバートは親友であるという設定で、実際妻よりも愛しているというような男同士の関係を匂わせる台詞(笑いが起こっていた)もあるのだが、二人の演技では、人形仕掛けだからか全く親密そうには見えず、ロバートが白髪で歳の差がかなりあるように見えてしまった。

更に、終盤でウェイターがでてくるのだが、白いマスクを被ったスケキヨ状態で出てくる。これには、客席からも乾いた笑いが起きていたし、不必要な仮面の使用は個人的に俳優に対して失礼だと感じてしまう。

 

このあと、プルカレーテの「スカーレット・プリンセス」を二列目センターで観劇したのだが、また今日も観るつもりなので次回に回したい。

シビウにせっかくいるのにブログばっかりに時間をかけるのも良くないので、出かけたいと思う。

シビウ演劇祭四日目・五日目~ASYLUM~

 担当している、Kibbutz Dance Companyというイスラエルのダンスカンパニーの公演「ASYLUM」。去年、オンラインの配信でこのカンパニーとバットシェバというイスラエルの他のダンスカンパニーを観て、その表現に惹かれていたので担当できているのは嬉しい。

 

6/27の22時からと6/28 の18時からFabrica de Culturăという元々廃工場だったところのファウストホールでの公演で、どちらの公演もスタンディングオベーションだった。

 

ボランティアとしてはルーマニアの子たちがもうあと二人いて、その子たちが非常にしっかりしていたので、色々チェックしたり、頼んだり細かいところで少し動くだけだった。会場が他の会場からかなり離れているため、長時間他のインターナショナルボランティアや現地の友達にも会えず、自然な事ではあるが、ルーマニア語が頭上を飛び交う環境のなかで無力感もあった。言語、文化の違いなどもあるが、自分の内気な性格も問題だなと強く感じ、もう少し何かできたんじゃないかという気持ちと、いやギリギリ食らいついていけてるという気持ちのせめぎ合い。しかし、最後には色々ダンサーの人達と話したり(やっぱり舞踏butohは有名なのだなと再確認できた)、日本の人と繋いだりできたので良かったと思いたい。

 

私がリハーサル合わせて四回見た「ASYLUM」(https://www.youtube.com/watch?v=ysG-CESyw8k)は日本語では「避難」「亡命」という意味で、振付家はRamiBe'er。コンセプトはタイトルからも分かるように、アイデンティティ、外国人、抑圧、差別、支配、自由、帰属、移民、祖国、あこがれ、故郷等のようだ(下記HPを参照)。

 

In his work the ‘Asylum’, Be’er examines concepts such as identity, foreignness, oppression, discrimination, domination, freedom, belonging, immigration, homeland, longing, and home. These concepts are relevant to every human being from an existential view, wherever he or she may happen to be situated in place and time. The quest for a place that is identified as a home is part of the human existential experience.

In relation to the present moment in which we are in, the reality touches subject matters within Asylum as we are all witnesses to the millions of asylum seekers that are are escaping wars and conflicts across the globe, trying to find their place where they will feel safe.(キブツダンスカンパニー公式サイト

https://www-kcdc-co-il.translate.goog/en/show/asylum/?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=op,sc

より引用)

 

 舞台はまず拡声器を持った人が現れるところから始まる。彼は「712213」という数字を繰り返す。そこから他の20人近いダンサーが登場してきて群舞になるのだが、腰を下ろした姿勢が基本姿勢でなんだが能に似ていると思った。腰と手の動きが印象的で、脱力系の自分も踊ってみたくなるような中毒性のある振付。

そこから、少人数の踊りに移っていくが、この作品で印象的なのが、口を大きく開けて叫んでいるような表情と、歩く振付だ。歩く振付は、ソロやデュエットでの踊りの間に挿入されて、客席側に向かってきたり、後ろ歩きになったりする。それは移民の移動、逃亡を表しているのかと思うが、後ろ歩きの時は時が戻っていくような表現にも思えた。

 またその他にも印象的だったのが、男女が親密な雰囲気で踊るデュエットダンスで、男側が段々女性に対して支配的、暴力的になっていく場面や、舞台上に倒れている10人程度のダンサーたちを、他のダンサーが助けおこそうとするというような場面だ。これらの場面は、印象的に繰り返された。

 最後の場面では、プロローグと同じような振付の繰り返しなのだが、微妙に変化がつけられていて、銃を構えるような動作が途中かなりの回数挿入される。客席にも向かってきて緊張的な雰囲気になった後、全員倒れて去り、一人のダンサーが拡声器を舞台上において終幕。

 

全体通して音楽が耳に残るもので、今も頭の中を繰り返し流れているのだが、上手く表現する言葉が見つからない。どの音楽も少し不穏な雰囲気を醸し出すようなものだった。

 

まだ日本に行ったことは無いそうなので、いつか日本でも観れたらいいなと思う。あとは、もっとダンスの批評が出来るように勉強したい。

シビウ演劇祭二日目・三日目


忙しい、というかあまりなにもやってないけど公演は見れないような時間もありつつで、Indoorのパフォーマンスは全然見れていない。 
担当する劇団の公演はかなり深く入り込んでみれているし、仕込みとかを観るのはすごく面白いのでそれはそれで充実しているはず。 
公演はまた観客としてこよう。 
 

ドイツのOakleafのNatural Cumbia

魚とかタツノオトシゴとかの高く竹馬みたいにしての練り歩き 
大きくて、蛍光色で目を引く 
なんか海月姫の衣装みたいだなとも思った。 
見た目には海の生き物で涼しげだけど、演者は大変そう(隠して演じてるけど)

スペインのEfimerのTraps 

三体の可愛いでかい恐竜が人にちょっかいを出しながら練り歩くというもの。帽子が狙われて帽子を被っている人が教われていた。絶対子供が好きなやつという感じ  

ルーマニアの学生の銅像パフォーマンス

Departamentul de Arte și Media, Facultatea de Litere, Universitatea din Craiovaというルーマニアの大学生の公演。The Living statue festival(生きた銅像のフェスティバル?)を平行して開催しているようだ。 
シェークスピアの登場人物のキャラクターをブロンズ像の機械的な物質的な動きで表現するというもの。テーマが愛らしく、ロミオとジュリエット、リチャード三世とレディ・アン、フォルスタッフと娘たち(ウィンザーの陽気な娘たち)が出てくる。愛がテーマということもあって?登場人物のほとんどがキスをする。結構笑いをこらえきれてないというか、人間的な部分が見えていて、いいのかなと思った。 

フランスのLes P'tits Brasの'Cabaret Bruits de Coulisses'

初日と同じような空中ブランコを含んだサーカスだったが、中世?(本当のその時代のパフォーマンスをあまり知らないので?を付しておくが)がコンセプトらしく、歌あり、髪を使ったつり上げあり、なんでもありのカオスさがあり、そのカオスさが初日の正当派なものよりも自分の好みだった。 
舞台がHebermanの中心にあり、バックステージが見えるようになっていた。カーテンが閉まると表のパフォーマンスは見えず、演者の待機や着替えが見えるので、どういう意図で見せてるのかわからなかったが、それも含めてパフォーマンスということらしかった 

スペインのEfimer(恐竜とおなじとこ)のDance of Death

他のボランティアの子たちとhuman chainになって、観客が進行を妨げないようにしながら、ちゃっかりかなりいい場所でパフォーマンスを見た。大きなスケルトンの操り人形?のようなものが通りを練り歩くもので紙吹雪や水がでる演出があって、クラブに流れているようなアゲアゲの音楽で、途中までは楽しんでいた。しかし、一時間くらいたつと、さすがに同じことの繰り返しということに気づいてしまって、急激に周りのテンションについていけなくなって途中離脱してしまった。

 

兎に角今は、自分の担当以外のIndoorの公演が見たいという気持ちにさいなまれている。今日はどうにか見れるはず‥‥。

シビウ演劇祭一日目観劇録

①フランスCompagnie DyptikのD-Construction(脱構築?) in Habermann Market 
 
 フェンスが舞台の中心に立っていて、演目の半ばでフェンスの内と外が入れ替わる形式、最初はフェンスの外側がメインステージのようになっていたので、逆側がメインなんだなくらいにしか思わなかったが、こちら側に演者が移ってきて反対側の客がフェンスのギリギリまで詰めてくると、急に壁に隔てられた人々、移民問題というようなメッセージが鮮明に浮き立ってくるような仕掛けになっていた。 
 ダンスはヒップホップでアクロバットな動きもあるパワフルな雰囲気だが、ところどころセンチメンタルというか落ち着いた身体表現があったり、こちらをじっと見つめてきたりして緩急があった。 
 
 カーテンコールはスタンディングオベーションだったが、観客のひとが間にはいって礼をみんなでしていて思わず誰!?って日本語で口から漏れ出てしまった。 
 
②フランスのCirkVOSTのPigments 
コンテンポラリーサーカスで、空中ブランコがメイン。ところどころ衣装の早着替えとか一時停止とかあってもメインは空中ブランコであまり言及するようなことも逆にないが、やっぱり技が決まったらすごいし、最後にみんなで回りまくるところは圧巻だった。 
 
最後はDrone & lasers show 
初日と最終日に開催されるショー、今までは花火だったが結構危ないから?環境への配慮?等でドローンに変わったらしいラドスタンカ劇場の上でドローンで本とか花とか蝶々とかが表現されていた。 
23時からとなっていたが結局色々トラブルもあって30分おしではじまる。皆花火が名残惜しいのか、ドローンショーに花火のヒュードーンという音を口々に言っていて面白かった。 
 
案の定すこし遠いホストファミリーの家に帰れなくなった(これを見越してホストシスターも誘っていた)が、結局どうにかなったのでよかった。 
 
他のメンバーは皆バーに向かっていったので元気だなあと思う夜だった。たぶんノリ悪いと思われてるだろうな...