バナナの木

演劇学を学ぶ大学四回生です。自分の勉強のために観劇の感想を書こうかと思っているブログ

夏の観劇感想:次に進むための記録として

久々のブログの更新で、メイさんに紹介してもらっているのにも気づかなかった。

 

199.hatenablog.jp

ありがとうございます。豊岡演劇祭で会えるのが楽しみ(私信)

 

帰国後、何故か一時帰国と間違えられることが多い。そうしたい気持ちはありつつ、しかし目の前の大学を卒業しなければならないので本帰国(?)

帰国後は実家の方にいると、ヨーロッパでの生活が嘘のように全く上演に触れられない生活で1か月と少しを過ごした。その間に観た作品。

 

・宝塚花組公演『鴛鴦歌合戦』『GRAND MIRAGE!』

・令和5年夏休み文楽特別公演『夏祭浪花鑑』

・PARCO『桜の園

東京芸術劇場『エブリ・ブリリアント・シング ~ありとあらゆるステキなこと~』

・宝塚星組公演『1789』

・Co.山田うん『In C』

・宝塚月組公演『フリューゲル -君がくれた翼-』『万華鏡百景色』

 

 とにかく、このラインナップの中でも文楽の『夏祭浪花鑑』は圧巻で、久々ということもあり、浄瑠璃人形遣いの熱気を浴びてきた。ツイッターにも書いたが、「長町裏の段」がスペクタクルで大変良かった。配役も団七が人形遣い玉男さん、浄瑠璃太夫さん、義平次和生さん藤太夫さんで力の入りようが分かる。こんなに面白いのに毎回客入りがめちゃくちゃ悪いのがもったいないなという気持ちになるが、研修生で女性をまだ認めていない旧弊さにはうんざりなので、大手を振ってオススメは出来ないのが残念。

 

 PARCOの『桜の園』は、子供の不在を表す系の演出はケイティ・ミッチェルが『オレステイア』で失敗したやつじゃないか~と、『ケイティ・ミッチェルの演出術』を読んですぐの観劇だったので思った。戯曲の要素としては確かに存在するけど、そう何回もやられると観客の理解力を信じてほしいという気持ちになるし、当のラネーフスカヤの人間性や現在の生活は単にその息子の死だけが原因ではなさそうなので、あまり上手く結合してないなと思った。また、環境破壊に関する劇だと思っているので、ツイッターで目にした、ロパーヒンは正しいことを言ってるのに、貴族の人に耳を傾けてもらえなくて可哀想というような感想には、(確かにラネーフスカヤにも全く共感できないし、ロパーヒンは話を聞いてもらえないから、観客に話しかける構図になっていて共感を誘うのかもしれないが)同意できないなと思った。まあ感想は人それぞれだが、とはいえロパーヒンを正しいとするのはあまりにも資本主義的な考えではないか…。私は、派手な演出が好きで、戯曲的に盛り上がる場面でもあるので、三幕のクラブの演出は結構好みだった。また、不審者の場面と最後のフィールスが置いていかれる場面もいつも注目して観てしまうが、突然現れるオレンジ不審者感とフィールスの孤独老人感は良かった。最後やっぱり木を切るのは現代的なチェーンソーになっていたが、フィールスの台詞終わりでチェーンソーの音が響くことが無かったのは雰囲気を守る為だろうか?

 

全体通して、NT版でみたクラシック『桜の園』よりは面白かったが、SF版『桜の園』には斬新さの面でも及ばずという感じだろうか。何故か『桜の園』ばかりめちゃくちゃ観ている。あとは、もんささんのブログで書かれていたことに概ね同意で、記事も引用されていて面白くて参考になったので引用する。

monsa-sm.hatenablog.com

 

 宝塚星組の『1789』は、礼さん復帰後の公演だし、瀬央さん星組最後だし、有沙さん退団だし、色々な感動はあったのだが、そもそも作品としてはあまり好きじゃないかもしれない。なんかすごいロナン無理やりで、アルトワ伯も瀬央さんが演じているとはいえ、めちゃくちゃ気持ち悪い嫌な奴だ。というか、前の上演と比べられるからか、曲のカットや出番が組内のヒエラルキーに対応している様がハラハラするし、応援している天飛のフェルゼンの演技が全くスタイルに合ってなくて、高貴な雰囲気の発声が上手くないし、ナンバーへの出番も少なくて満足できなかった。フィナーレの群舞での天飛はめちゃくちゃ良くて、やっぱり好きだと思えて安心した。あと、客席から民衆が登場する時に、めちゃくちゃ客が拍手するのもすごいドラマを邪魔していた気がした。星組ファンの拍手の上手さがが裏目に出ている。ということで、星ファンで、久々の観劇で、最高なはずなのに、なぜこんなに心がモヤモヤしてしまうのか、なぜ純粋にカタルシスに浸れないのかと、いろんな意味で悲しくなってしまった。うーん演出のせい?人事が気になってしまうせい?

 

 

あとの作品も楽しんだが、このブログは次のブログを書くための、次のブログの最初にいらないことをベラベラ書いてしまうのを防ぐためのいわば前菜なのでこの辺で締めたい。

大阪の方に移ったので、今後はもう少し観れそうと言いつつ、夜働くバイトを始めた為、すでにNTライブの『Best of enemies』は見逃してしまうことが確定した。字幕付きで観たかった…。